製品展開

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専門性の高い用途別の展開

食用ゼラチン

舶来の味としての黎明期、やがて国産品の安定供給へ。
ゼラチンは消化吸収の良い動物性たんぱく質で、アミノ酸供給源として栄養価が高いことが知られています。ヨーロッパでは100年以上前から、種々のゼラチンゼリーが食卓を飾ってきました。日本においては、明治から大正にかけて欧米の食文化として紹介されたようですが、料理の使用に耐える良質のゼラチンが少なかったこと、そして長らくゼリー様の食品には寒天やくず粉を使ってきた習慣から、すぐに普及するには至りませんでした。しかし、昭和10年頃までは、高品質の国産食用ゼラチンが市場に供給されるようになり、徐々に食のシーンを彩るようになりました。
巧みに力強く、現代の食生活を支える立て役者。
その後、ゼラチンの研究が進むにつれ、保型・保水・弾力・安定・結着・乳化・起泡といった数多くの利点・特性に着目して、さまざまな食品の生産・加工へと巧みに活用されるようになります。それは、マシュマロ、グミキャンディ、ソフトキャンディ、チーズケーキ、ムース、ババロアなどの洋菓子から始まり、あられ、せんべいなどの和菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓、さらにはハム、ソーセージ、ベーコン、ゼリー寄せ、テリーヌなどの惣菜、スープ、缶詰め、漬け物、調味料など、枚挙にいとまがありません。他にも、特筆されるものとして、酒のオリ下げ剤や、チルド流通の惣菜(長期保存・品質保持のため)などに使用されており、今やゼラチンは、私たちの食生活になくてはならない素材となっています。
昭和(1941)年、世界で初めて鯨を原料としたゼラチンの製造に成功したゼライスでは、いち早く家庭用高級ゼラチン「ゼライス」を発売。また業務用としても、ユーザーニーズにきめ細かにお応えする、多種多彩なラインナップを取りそろえております。しかし、わが国ひとり当たりの食用ゼラチン消費量は、欧米の3分の1以下。まだまだ潜在力と可能性にあふれる食用ゼラチンマーケットを担うため、さらに研究開発にも力を注いでまいります。

医薬用ゼラチン

ゼラチンの物理的特性を活かしきる。
ゼラチンの医薬品利用の代表的なものとしては、ソフトおよびハードカプセルが挙げられます。これはゼラチン特有の物理的性質――たとえば人体に無害で消化吸収される動物性たくぱく質であり、ゾル-ゲル変化をし、乾燥すると強固な皮膜を形成する、さらには酸素や水分を透過しにくいなど――を活用したものです。近年では、充填した薬の放出速度を調節できるマイクロカプセル(例えば、通常胃で溶けるカプセルに、胃液への抵抗性をもたせ、腸で溶けるように加工)もあり、ドラッグ・デリバリー・システムに代表される、新しい薬の投与技術を担っています。日本においては、ソフト・ハードカプセル、加えてハップ剤へのゼラチンの使用量は多く、各々年間約1000トン以上消費されています。
進化・深化する医療ニーズに、高いレベルで応える。
医薬の領域でのゼラチンの活躍は目覚ましいものがあり、錠剤、丸剤、トローチ剤、乳剤、座薬、代用血漿、ゼラチンスポンジへと応用されています。また、患者向けにアミノ酸の補給源として利用したり(この場合、必須アミノ酸であるトリプトファンを添加)、ゼラチンの流動性や付着性などを活用して嚥下障害患者(食物がうまく飲み込めない、または気道に詰めてしまうおそれがある患者)のリハビリ食にしたりなどの、ユニークな試みもみられます。また、以前よりゼラチン由来の成分が盛んに使われてきた化粧品の分野においても、“加水分解コラーゲン”“水溶性コラーゲン”の登場により、効能のある化粧品基材原料として大きな役割を果たすようになっています。ゼライス開発の「コラーゲン・トリペプチド」は、従来の加水分解コラーゲンにはなかった優れた特徴・効果をもっており、美容業界からの熱い注目を集めています。
医薬ラチンは、日本薬局方により、その純度が厳しく規定されています。当社は、医薬品製造業許可を得て、約半世紀の長きにわたり、日本薬局方ゼラチンを製造しています。また、先進のバイオテクノロジー技術を駆使し、低アレルギー性製剤用ゼラチン・非抗原性安定化剤「フリアラジン」を開発。医療の課題であったゼラチン・アレルギーの解決に、大きな足跡を印しています。

写真用ゼラチン

他に代わるもののない、ゼラチンの特性。
1871年、イギリス人によって臭化銀ゼラチン乾板が発明されて以来、感光物質としてハロゲン化銀、その結合剤としてゼラチンが使用されてきました。ゼラチンの特質がつまびらかでなかった古い時代には、他の結合剤に比べて、特に高い感光度が得られるゼラチンの神秘性を唱える声もあったのです。ゼラチンは感光膜中で、ハロゲン化銀を保持し、吸水・膨潤によって、現像や定着などを可能にします。また、感光材料の製造過程においては、ハロゲン化銀に対する優れた保護コロイド作用、温度によるゾル-ゲル変化などの物理的諸性質、さらにゼラチン中の微量成分による増感作用などが複合的に働きます。
一時一部メーカーにおいて巨費を投じ、ゼラチンに代わる素材として合成ポリマーの研究が盛んに行われましたが、ゾル-ゲル変化と保護コロイド性において、ゼラチンに及ぶものはなく、合成物による代用は成功していません。
難度を高める課題には、技術力・開発力で即応。
日本においてカメラの普及が始まったのは大正の中頃から。普及が進むにつれて、写真関連の輸入品は増加の一途をたどりましたが、昭和初期には次々とメーカーが起業し、国産品のフィルムが市場を賑わすようになりました。一方、最後まで輸入品に頼らざるを得なかったのがゼラチンであり、そのうえ、生産環境の違う輸入ゼラチンは、日本の多湿な季節にもどりが生じたり、カビができたりするといった欠点がありました。食用ゼラチンメーカーのあいだでは、写真用ゼラチンの研究開発に着手する動きが活発になり、試行錯誤の末、昭和14年頃までには、各社から安定供給されるようになります。しかし、品質的にはまだまだ課題の残るものでした。その後、軍需品としての伸長に伴って、製造技術も高まり、高品質の製品が提供されるようになりました。
ゼラでは、昭和24(1949)年から写真用ゼラチンの製造を開始。高品位ゼラチンを提供することで、伸び続ける写真産業を支えてきました。そしてこんにち、年々、難度を高めるユーザーニーズに、独自の技術力・開発力でお応えしております。

工業用ゼラチン

起源は古代エジプト、ゼラチン利用の原点は「にかわ」。
ゼラチンの最も古い用途、それが工業用です。そのルーツは古代エジプトの“にかわ”製造にまでさかのぼるといわれます。ピラミッドから出土する王族の棺・調度品・美術工芸品には接着剤として、にかわが使用された形跡が認められます。驚くべきことに、にかわの基本的な製法は5000年前のこの頃に、すでに出来あがったとみられています。その後、6世紀頃のものと思われる中国の記録が、ほぼ完成された技法を伝えています。それは、現在日本で受け継がれているものと大差ありません。古くは、にかわは弓づくりの接着剤などとして使用されていましたが、やがて墨や彩色絵具をはじめとする書写材料として、そして木工品などの接着剤として一般にも使われるようになっていきます。
お客さまの数だけ、製品の数。基本は、オーダーメイド。
日本においては、近代化の波に洗われた明治維新後、本格的な工業化への邁進ととともに、にかわはマッチや研摩紙(紙ヤスリ)へと利用されるようになります。そして国内でのゼラチン生産力の高まりとともに、コロタイプ印刷、ガムテープ、織物、電解精錬、めっきへと活用の幅を広げていきました。さらにこんにちでは、等イオン点を活用したマイクロカプセル、ゼラチン皮膜を応用したゼラチンフィルム、保護コロイド性を利用したビニル系ポリマー、反応性によるエッチング、ゾルーゲル変化と反応性を利用した食品模型、保水の効果を活用した生コンクリートの乾燥抑制、熱水溶解性による人工皮革・・・などなど、ここに列記した領域以外でも、実にさまざまな製品に利用されています。
ゼラは、にかわゼラチン部門で、最も早く日本工業規格の表示許可工場となっており、安定した高品質の工業ゼラチンを提供しております。品種はJIS規格では、1種から5種までゼリー強度によって分類されていますが、ゼライスでは自社規定によりさらにきめ細かな分類を行っており、ほとんどの製品がお客さまのニーズにあわせたオーダーメイトです。